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『やぁ。相変わらず、仲いいね』
背後から声が降って来る。見上げる間に、トレイを持った男性が僕らの向かいに現れる。「ここ、いい?」と形だけ聞きながら、椅子の背を引いている。
エマが輝く笑顔で歓迎した。
『ホントに2人、付き合ってないの?』
パスタセットのサラダをつつきつつ、彼――リック・ジェームス・スチュワートは、面白そうに僕らを眺める。
『やめてくださいよー。リンは、た・だ・の、幼なじみですって!』
恥ずかし気に頬の赤みを濃くして、エマは首を振る。「ただの」を強調した彼女の返事に、僕は苦笑いだけを添えた。
『そう? だけど、こんな場所で再会するなんて、不思議な縁だね』
『腐れ縁ですよ』
『腐れ縁ですね』
苦笑いを更に苦くして答えると、重なったエマの言葉とシンクロし――思わず僕らは見つめ合ってしまった。
『ハハハハハッ! 分かった、分かった!』
スチュワートさんに、爆笑されてしまった。彼が笑い飛ばしてくれたことで、気まずさまでも吹き飛んだ。
そうこうする内に、エマはブロンド美人のクロエさんに呼ばれて、先に食堂を出て行った。
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