第3章 明暗

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『それじゃあ、ひと眠りしよう。皆、いい夢を!』  スチュワート船長は、そんな雰囲気を掻き消すように、爽やかな白い歯を見せた。  僕らは、それぞれの個室に消えた。医療マニュアルに従ってコクーンシステムを起動させ、航海予定通りの長い眠りに就いた。 -*-*-*-  すっかり回想に浸ってしまった。  時計を確認する。覚醒してから約2時間。やっと折り返し地点を過ぎた。残り1時間近く、こうして大人しくしていなければならないかと思うと、うんざりする。  覚醒記録を覗いてみるが、僕以外のデータはまだ登録されていない。  ほぼ同時にコクーンに入ったのに、覚醒のタイミングって、こんなにズレるものなんだろうか……?  大きく息を吐くと、ゴロリとソファーの上で寝返りを打った。
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