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「あら、見てたの?」
僕は見ていたのがバレて慌てて答えた。
「あぁ、えぇっと、そ、そうだ!ご飯が出来ましたよ!」
「わかった。今行くわ。」
レイコはそういうと颯爽と僕の前を横切って行った。
横切るレイコの横顔に少なからずときめいたが忘れる事にした。
レイコは自分では気付いてないみたいだが結構美人だ。
人当たりも良いし、スタイルだって悪くない。
優しいし、気使いも出来る。
強いて言うなら言葉使いがたまに男っぽく聞こえる程度。
ララいわくファンクラブも密かにできているという。
レイコはその事を知らないようで、なぜそれを教えないのかと聞いてみたら
面白そうだからと言っていた。
僕にはよく分からなかったけれど。
僕はレイコの後を追い、席に着いた。
レイコは手を合わせる。僕もそれに習って手を合わせる。
「いただきます!」
レイコはそう言うと僕が作った料理を食べ始めた。
そうか、これが噂に聞く食べる前の儀式なのだな。
「いただきます!」
僕もご飯を食べ始めた。
━━━━━━数十分後。
レイコはまた手を合わせた。
「ごちそうさまでした!」
また儀式を済ませると、食器をキッチンに持っていった。
ふむふむ、これが食べ終えた後の儀式なのだろう。
「ごちそうさまでした!」
久々に料理したけど、腕は落ちてなかったみたいだね。
僕は料理に対して満足しているとレイコがキッチンの奥で座り込んでいた。
僕は慌ててレイコに向って駆け寄った。
「ど、どうしたの?具合が悪くなった?」
なんだろう。人間の中で混ぜたらいけないモノでもあったのかな…?
しかしレイコは首を横に振った。
「え、じゃあなんでうずくまってるの?」
「…私考えてたの。」
「何を?」
「…今後のことよ。」
あぁ、僕がいるから今後どういう生活を送るかっていう事を考えてたのか。
でも、なにもキッチンの奥で考えなくても…
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