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「あなたが、光定様の奥さんって言うのは本当ですか?」
「あー、たぶん、はい」
信徒の方と近くのファミレスに行き、とりあえずドリンクバーとケーキを頼んだ。ケーキが届く前に飲み物を飲んでいた。
「実は、大変言いにくいのですが。私と光定様、愛し合っているんです」
すると、若くて綺麗な女の人は突然そんな事を言ってきた。私は、飲み物をごくりと音を立てながら、その言葉も一緒に飲み込んだ。そして、とうとうこの日が来たかと、私は一つ深呼吸をした。
「光定様は、貴女と結婚したのはお義父様の言いつけだからと言っていました。結婚しなければ、住職にはしないと言われたそうで」
私は、彼女の言葉を彼女の事を真っ直ぐ見ながら聞いていた。人の顔を見るのは苦手だが、そうでもしないと、私はいつか来るとは思っていたこの結末を、受け入れる事が出来ないと思ったからだ。
「私も近くの寺の娘です。そのため、光定様とは家族ぐるみの関係で、何度かお会いしてきました。そして自然に私たちは惹かれ合い、光定様は、私と結婚したいと言ってくれるようになりました。家庭に入り、同じ場所に住み、お寺の手伝いをしてくれる人を求めていたと、言ってくださいました」
彼女の目は、真っ直ぐ私の目を捉えていた。残念ながら、彼女の目が動揺で揺らぐ事はなかった。
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