第1章

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「おつかれさまでしたー」 「おつでーす」 「おい、山田ー」 「なんすかー」 「飯行くぞー」 「はーい」 仕事終わり、先輩に外食に誘われた。 ちなみに山田とは私の旧姓。結婚しても自分のことを山田といってしまう癖は直らず、周りの人も私を山田とよぶ。 「てか、山田のダーリンってお坊さんなんだろ?」 「マジすか!すげぇ、旦那がお坊さんって大変そうっすね!」 「別に、一緒に生活してるわけじゃないし、普通ですよ」 どうやら今日は私だけではなかったらしい。新人の男の子も一緒に3人で食べることになった。 「え?むしろ結婚してるのに、一緒に生活しないっていうのが普通じゃないと思うんですが」 「あー、そういやお前アパートに一人暮らししてたな。あそこ、結婚してからも出てないんだ」 「はい。まぁ、たまにお義父さんに呼ばれてご飯食べにいったり、忙しい時期とかは手伝いに行きますけど」 「それにお義母さんとかは、なにも言わんの?」 「あー、なんでも旦那を産んだ後すぐにお義母さんは亡くなったらしいんで」 「あー、なるほど」 私の職場は、旦那の実家からはやや遠く不便だ。しかも、仕事は不規則で、帰る時間も安定しない。そのせいで旦那との生活のズレが目に見えるのは分かっていたため、私は最初から別居を提案した。もちろん、旦那もすぐそれに快諾した。
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