好きな時間

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朝の俺の好きな時間。 「奏ー、寝てるよー」 「んー...」 たまに父さんに朝のお勤めを任せ、朝ゆっくりできる時がある。 その時に見る奏の寝ぼけてる姿。起きなきゃいけないのに眠い奏は、布団の上で起きては寝てを繰り返す。 「ちょっと、女の子なんだからはしたない格好しない」 しかし、Tシャツの裾がめくれて奏の白い足が覗くのは俺の心臓に良くないため、俺はなくなくTシャツの裾を治すために手を伸ばした。 すると、奏の手が俺の腕を掴んだ。 「ちょ、なに」 すると、そのまま俺は奏に引っ張られ、奏に不恰好ながら覆い被さる形になってしまった。 「光定さんも寝よ」 「寝ないよ、起きないと。奏も仕事だろ?」 「んー」 奏はぶっきらぼうだが、本当は結構な寂しがりやで甘えん坊だ。普段は全くそんなそぶりを見せないが、こうやって寝ぼけた時は普段考えすぎるほど働く頭が動かないらしく、素直に甘えてくる。もうほんと、控えめに言ってたまらなく可愛い。 「5分だけ」 「ほんとに5分?」 「ほんと」 奏が全然手を離してくれないため、今日は俺が折れた。奏のとなりに横になると、奏が俺の腕の間に入り込んできた。 「光定さんいい匂いする」 「柔軟剤の匂いじゃない?」 「ふふふ」 そして、俺の服にすんすんと自分の鼻をこすりつけながら匂いを嗅ぐ奏。猫みたいだ。 「光定さん」 「なに?」 「私のこと潰して」 「え、なに?」 「こう、ぎゅってして潰して」 でも甘えたな奏もやっぱり奏なので、言葉が物騒だ。 「こう?」 「うん」 潰すことはできないが、俺は奏に手を回し、優しく抱きしめる。奏はそれで満足したようで、俺の体に頭をすり寄せる。 「幸せ」 ボソッと小さい声で奏がそういう。 あああああ。ほんと勘弁してほしい。 「光定さん痛い」 「あ、ごめん」 本当に潰すつもりはなかったのだが、奏の可愛いさに胸が締め付けられた分、奏を抱きしめる手にも力が入ってしまったようだ。そして、奏が目覚める頃には、勿論奏はこの事を忘れている。
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