お風呂事件

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お風呂事件

*ちょっと背後注意 事件が起きました。 いつものように奏の家に泊まりにきていた。しかし、いつもとは少し違うことがあった。それは、奏がいつもよりしなびていること。奏に声をかけても、んー、うん、の生半可な返事しか返ってこず、昔に流行った、たれたパンダのように、ソファーの上で手足を投げ出し伸びている。 きっと何かあったのだろうけど、奏はこういう時深く理由を聞かれるのを嫌がる。俺は奏の側でテレビを見て過ごしていた。 「光定さん」 「なに」 「お風呂」 「あー、もうお湯入れるだけで入れるよ」 「一緒にはいろ」 「うん、いいよ」 奏がテレビを見ている俺の後ろから、声をかけてきたため、俺は風呂にお湯を入れるため立ち上がったのだが... 「...え?一緒にって、俺と奏が?」 「うん、や?」 いや、嫌なわけないじゃん。てか、「や?」ってなんだよ、可愛い。 「嫌、ではない」 「じゃあお湯入れてきて」 「あ、はい」 そして俺は風呂にお湯を入れに行く。 風呂にお湯を入れ、無意味に湯船に湯が溜まるのを見ていた。 いや、俺もいい歳だし、無駄にイケメンと言われて育ってきた訳ではないので、恋愛経験は普通にある。恋人と一緒に風呂に入ることだって、日常的にあった。 でも今回は、相手が奏。そう、あの奏。 今まで恋愛をしてきた相手とは違う。 俺にとって奏は、変な言い方をすると未知の生き物。 でもそこに惹かれるというか。奏の裸を想像したこともあったが、なぜか想像しようと思うともやがかかりできなくなる。 そして断言できること。今までの経験上、風呂に一緒に入るということは、少なからずそれプラスαの行為があるわけだが、奏の場合はそれは絶対にない。風呂に入る=風呂に入る「だけ」。 奏の裸を見て、触れる可能性があったとしても、それ「だけ」。 いやいやいや、ちょっとそれは流石に。 と、考えているうちに風呂がたまってしまった。
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