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新しい一歩
「かなたーん!」
「あ、ゆいちゃん。おはよう」
「こらこら、ゆい。かなちゃんのところに行くまで待ちなさい」
「かなたーん!」
「はいはい、今行くからまってて」
最近お寺に、お婆さんと一緒に小さい女の子が遊びに来る。最初その子は人見知りで、お婆さんからべったり離れなかったのだが、最近はどうやら慣れたようで、私を見かけると抱っこをねだるようになった。
「あら、かなちゃんもだいぶ抱っこが上手になったねぇ」
「ゆいちゃんのお陰ですよ」
「かなたんおはなしー!おはなしー!」
「ん、今日は何のお話しようか」
私は小さい子の事があまり得意ではない。小さい子と触れ合う機会は今まで兄弟の子供たちくらいだった。けれど、こうやって懐いて貰えるとやはり可愛い。最近では、わざわざゆいちゃんに会える時間にお寺に来たりしている。
「じゃあかなちゃん、ゆいを任せても大丈夫かな?ちょっと爺さんの所に挨拶に行って来るよ」
「いいですよ。お気をつけて」
「ゆい、かなちゃんと一緒に良い子にしてるんだよ」
「はーい!」
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