昔のはなし

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そのあとすぐ、リハーサルをしてくれる人が来て、私達は少しリハーサルをした。 リハーサルのおかげで、本番も無事終えることが出来た。念珠を光定さんから受け取った時、もう心臓が爆発するくらい緊張したが、ちらっとみた光定さんがそんな私に気づいたのか、優しく微笑んでくれた。違う意味で心臓が高鳴ったが、少し緊張はほぐれ、私は無事念珠を受け取れた。そして、式が終わるまで念珠を持ち続けた。 式の最中、両親をみたが、私のお母さんは普段あんなに煩いのが嘘のように、静かに泣いていて、いつもは素っ気ない父さんも、そんなお母さんの手をきつく握ってあげていた。いつもにこにこしている光道様さえ、少し涙ぐんでいた。 仏前式は、前世から現世、そして来世までの繋がりを誓うもの。お互いの気持ちもよく分からないまま結婚した私達だが、今だけは勘違いをしようと、前世からの現世までの繋がりと、来世への繋がりを信じた。 「おねーちゃーん。大丈夫?」 「あらやだ、そっとしておきなさい。お姉ちゃん疲れてるんだから」 「そうみたいだねー。でもいい結婚式だったねー。私も仏前式にすればよかったかなー」 「あら、あなたの式も素敵だったわよ」 「しかもお姉ちゃんの旦那さんお坊さんなのにめっちゃかっこいいじゃん!お姉ちゃん幸せ者だねー」 「...男は顔だけじゃないぞ」 「ふふ、お父さんお姉ちゃんが結婚しちゃって寂しいんだ。お父さんお酒飲んだ時よく、奏だけはずっとうちにいる。誰にもやらんって言ってたもんね」 「そんなことは知らん」 式が終わった後、私はもぬけの殻だった。家族の会話も頭に入らないほど、私はずっとぼーっとしていた。でも、念珠だけは手から離さなかった。
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