はじめてのお泊り

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「じゃあ、また」 「え、ああ。また明日。奏さん」 と、俺が一人でもんもんとしている間に、奏さんは帰って行った。帰る前に、奏さんが俺に声をかけてくれた。そんな事だけで、さっきまでもやもやしていた心の中が綺麗になり、逆に甘い何かが胸の中に広がった気がした。 「良かったね光定。かなちゃんのお家に泊まれるって」 「...父さん」 「怒らないでくれよ光定。お前は最近、頑張りすぎだと思うよ。それに、せっかく結婚したのにかなちゃんと二人きりになれる時間なんて忙しくてなかっただろう?たまにはお坊さんも息抜きが必要だよ」 本当は、勝手に奏さんとお泊まりを決めてしまった父さんに、少し文句をいってやろうと思ったのだが、そう言われてしまうと、怒れなくなってしまった。 「あ、ありがとう父さん」 「いいや。それにしても、そんなにかなちゃんの家に泊まるの嫌かい?それならこれからかなちゃんに連絡」 「大丈夫!しなくていい!」 「ふふ、そうかい?」 前言撤回。やっぱり俺は父さんに文句が言いたい。本当にそのいじわるやめて。心臓に悪いから。
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