好きだから

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はぁ、この子は本当にバカだ。 そんな事言って、俺が少し体を触るだけで真っ赤になって泣いてるのに。俺が奏にしたい事を全部したら、自分がどうなるか分かって無いんだろうな。 でも、俺もそこまで出来た大人じゃないので、頭では分かっていても、自分の欲を抑える事が出来なかった。 「奏」 「っ、なに?」 俺は奏を抱きしめていた腕を少し緩め、奏の耳元で名前を呼ぶ。奏はそれだけで耳を赤く染め、体と声を震わせる。 「好きだ」 「っ、そんなの、知ってるっ」 奏は、真っ直ぐに好意を向けられることに慣れていない。だから、俺にこう言われるのも苦手だ。もう奏はいっぱいいっぱいなのか、俺から離れようと腕の中でもがく。もちろん、俺は腕を離さないので、奏が俺から離れる事は出来ないのだが。 俺はもがく奏を抱きよせ、耳の裏から首筋に唇を這わす。すると、奏から声にならない声が漏れたかと思うと、体から力が抜け、逆に俺の方に倒れこんできた。 それを首筋や耳を唇で撫でながら、服の中に手を入れる。もう奏の体から力が抜けきっていたので、時折体を跳ねさせて、可愛い声を漏らすだけだった。けど、しばらくすると、俺の肩を生暖かい何かが濡らした。 「奏、泣いてるよ」 「だって...」 奏はまた泣いていた。俺はたまらず奏に触るのをやめ、そう聞いた。 「恥ずかしい...。嬉しいし気持ちいいけど、凄く、恥ずかしいから...」 震える小さい声で、しおらしくそういう奏。さっきまでの威勢はどこにいったのか。もういつもの奏はそこにはいなくて、紛れもなく、俺にしか見せてくれない奏がここにいた。 「はぁ...」 俺は、どうしようもなく昂る気持ちを少しでも落ち着かせようと大きなため息をついてから奏を優しく抱きしめる。奏は、俺の気持ちに気付くはずもなく、心地好さそうに俺に身を任せていた。 「奏、少し顔上げて」 俺がそういうと、奏はゆっくり顔を上げてくれた。奏の波で潤んだ目と赤く染まった顔は俺には刺激が強く、すぐ俺は奏の口を塞いだ。最初は驚いた奏だったが、暫くすると、俺に身を委ねてくれた。
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