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迷い込んだ未知
ここはしんと静まりかえった森の中。湿った空気が僕を包み込み心まで冷やされそうになる。
僕は空を見た。
太陽の光がどこから射しているのかわからなくするほどに厚い雲が空を覆っている。僕は目を凝らして辺りを見渡した。
……どうやら僕は道に迷ったらしい。どっから来たのかもうさっぱりわからない。携帯電話を取り出した。……電波が一つもたっていない。
さっきから同じ所ばかりグルグル回っている。
迷路か? ここは。
僕はそっと木に紐をくくりつけた。そしてまた歩き出した。しかし三十分ほど歩いたらまたさっきの僕が木に紐をくくりつけた元の場所へと戻ってきていた。
おかしい。今度こそ森から抜け出せたと思ったのに。
叔父さんの話だと素人でもこの森を抜けるのに一時間かからないと言っていたのに……。
でも僕はもう三日も同じ所ばかりグルグル回っている。
道を間違えたか?
いや。それは昨日何度も確認したはずだ。念のためもう一回歩いてみるか? そろそろ食べ物も底を尽きる。
一時間弱と聞いていたので軽い軽食と水とお菓子ぐらいしか持ってきていなかった。
困ったな。
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