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博士からは、何も言われず一ヶ月がたつと少女の体
に異変がおとずれた。
そして、その日から日に日に体力が衰えていった。
あんなに無邪気に笑顔で笑っていたのに……。
「アンドロイドさん……。名前……。」
「ん……?」
ベッドで横になっていた少女は、突然語りかけた。
「アンドロイドさんの名前考えたの…。聞いてくれ
るか…な……?」
かすれた声で、必死に声をだすその姿に私は手を握
ってあげた。
「はい……。聞きますよ。名前。」
「ライって名前……どうかな…?意味は、like『好
き』のライクのライをとったの…。私はね…貴方に
会えて本当に嬉しかったの…。いつでも声をかけて
くれて、おしゃべりして……遊んで…。」
「それは……!」
「アンドロイドとか関係ないよ。」
「!?」
少女は、少し息を整えてからこう言った。
「確かに貴方はアンドロイドだけど、でも貴方は貴
方じゃない……。それを、忘れちゃだめ…だよ。」
すると、少女の瞳からは頬を伝って涙がこぼれてい
た。
「ライがいてくれて…本当に良かった…よ……!あり
がとう……!」
そして、彼女は笑顔で微笑んだ後眠りについた。
その時だ。
私の、記憶が…人間の頃の記憶が蘇った。
頭の中で、電流が流れ込んでくるような感覚だっ
た。
『あぁ……。君は私の大切な家族だったんだ
ね…?』
この家には、普通の家庭ならいるはずの両親がいな
い…。
写真たてもない…。
つまり、私に『見られてはいけない』から隠してた
んだと…。
だが、私はここで『終わる』だろう。
なぜなら、記憶を思いだしたアンドロイドは……。
『動かなくなり、二度と目覚めなくなるからだ』
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