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結局、俺は俺が何者かはわからない。というか、その問題はもはやどうでも良くなった。考えるのすら煩わしい。
俺はここで生きていて、ここで過ごしている。その事実だけでいい。
しかし、何故か物悲しい。そして、何故か憎らしい。
俺は誰かの手により生み出されて、なにかのために生きている。それはわかるのだが。
「メメト」
その声で、思考の輪から外れる。そして、すぐに忘却の彼方に消えた。
「...なんだ?」
振り返ると、うぉーりあがいた。奇妙な紙面の表情はとても明るい。
「相変わらず冷めてるねー?そんなんだと、嫌われるよ?」
また顔が変化する。悪戯した時の顔だ。
「...お前には関係ない」
「あはっ、そう来る?...まぁ、確かに関係ないかも知んないけどさ、ほっとけないでしょ。僕が拾ってきたんだし」
うぉーりあは、そう言って笑う。また、紙面の表情が変わった。
「...拾われた覚えなどない」
「はいはい。そうだね。君は自分の意思でここに来たんだったね」
そう言って、長い袖を振った。呆れたようにも見えるが、どこか楽しそうにも見えた。
「...何の用だ」
「あ、そうだそうだ。カンリシャが君をお呼びだよ。定期メ...検診だってさ」
「...わかった」
うぉーりあは用が済むと、さっさとどこかに行ってしまった。
俺は溜息をついて、カンリシャの元へと歩き始めた。
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