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兄の離婚、家庭は順風満帆に見えていたけど、兄は、仕事ばかりで、家にいつかず、太一を連れて出て行った奥さんは、アメリカ人の友人を頼ってきていた。
アメリカで仕事をしていた彼女を見初めて結婚した兄なのに、うまくいかなかったのだ。
三年前、彼が向こうにわたった時、太一にあった、その時、聞かされた彼女の病気、がん、太一は兄に引き渡されるはずだった。だが太一は、行きたくないと、母親に最後までついていた。
母親がなくなって、日本へ、帰らないといけないというときになって
「兄も死んだ、まったく、ついてない、自動車は疲れたときは乗るなと言っていたのに」
部長の親は中学の時に車の事故でお亡くなりになった、何かついて回るような気がしていて、部長は免許を持ってないんだそうだ。お兄さんは、仕事柄どうしてもの時、良く乗っていたそうだ。うちとは反対、会社経営は大手と言われ、保険金も家もあった、兄は大学を出ると会社を引き継ぐ、弟の彼もアルバイトで会社へ入っていた、ただ技術が必要でこの会社に入りその跡を継ぐはずだったが、ブランクではないが、兄が就職するころには、会社の中や大勢の人も変わり、違う人がトップとなった、それは兄弟が承諾したものとなった。部長は兄が帰ってくるのと反対に海外へ、二人が亡くなったのは、好きなことをしてもいいと兄に言われ、日本に帰国する矢先の事だったそうだ。
そして彼女の遺言、あとを任されたのは部長だったのだそうだ。向こうの父親も来て、その遺言に従ったという。
部長に預けるなんて、もしかして、その方は部長の事が好きだったんじゃないのかなとの思いがよぎった。
「親に反対されてした結婚でね、彼女にも意地があったんだ、死んでも、親には頼りたくないってね、なんか俺も同情しちゃってさ、預かるなんて簡単に言った手前、あいつに捨てられるくらいなら捨ててやるって言われたのがガツンと来たよ」
「ですが、部長も独身で、もし、好きな人ができたらどうなさるおつもりですか」
その時は考えてなかった、ただ不幸な子が俺とおんなじ血を引いてると思ったらつらくてね。
「面倒は見る、俺も好かれていたし、でも子育ては、大変でさ」
部長は私の手を取った。
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