エピソード2

2/23
前へ
/105ページ
次へ
太一君は本当に小学生前の子供だろうか、不思議だ。 「帰るよ」 女の子にもハグしてるし、男の子はハイタッチ、帰りは賑やかだ。そして郁と手をつないで帰る、んーいい子だ。 夕飯の準備をしてる間に、みんなはお風呂。まあにぎやかな声が風呂場から聞こえる。 ピンポン ん?誰?はーい。ドアを開けた。部長? 「おかえりなさい」 「あ。た、ただ今」 慣れてない?お風呂にしますなんて聞いたら。いや、いや、やめておこう。 裸の三人が出て来た。裸でお帰り。 嬉しそうにただいまと言ってる。 それから部長は、うちに来るようになった、仕事のある時は部屋へ戻り、ない時は 「あーあ、寝ちゃったよ?」 「疲れてるんだ寝かせてあげよう、みんなも寝るよ」 上着は壁にかかってるけど、スラックスはいてるし。 「ごめんなさい」 脱がして、靴下も脱がせて、コロン 「風邪ひかないで下さいね」 私は暖かい人間アンカの中で寝ます、おやすみなさい。  何か一日が早くて、私には休みがあってないようなもので、それでも体力だけはあるのか、難なく夏を乗り切った。 冬休みと夏休みは隠れてアルバイトをした。何とかセーフ。三人も仲良くやってるし、安心していた。  お金はなくても幸せってこういうことなんだよなって思っていて、父さんと母さんはどうして私たちを捨ててまで、二人だけで逝っちゃったのかな。 でも今はいいや、部長、親御さんが亡くなってから兄弟二人でどうやって乗り越えたんですか? 高いところから手を伸ばす、父さんみたい。 疲れて、大の字、いびきは書いてないけど、ゴロンゴロンと寝返りを打つのは似てるな。 風邪ひかないで、暖房はまだ入れられないからね。 布団を引っ張りかけ直した。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

628人が本棚に入れています
本棚に追加