エピソード2

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片付いた部屋にテーブルが置かれ、その上にいっぱいの物が並ぶ。 「はい、みんな座って、部長お願いします」 「それじゃあ、感謝して、いただきます」 「いただきます」 にぎやかな朝食、昔はこうだったんだよな。親が生きていた時をこの頃思い出す、兄貴と二人だけの生活よりもなぜか、遠い昔を思い出してる。 「部長、ネクタイ!」 「ああ、ごめん」 ポケットに入れた。 「郁、ほら、こぼさないの、太一君、カバンの中に入ってるの先生に見せてね」 「うん、おかわり」 「はいはい、歩巳あんたまたなんか忘れてない?」 「忘れてないよ」 「プリント、参観日!」 「ウワー、忘れてた」 「早く出せ、食べたら流しにおいといてください」 自分の事なんてそっちのけで俺たちの事をしてる良美ちゃん、すごいな、ここまでできるのかな? 「ごちそう様」 「ごちそう様でした」 くるくると動き回る彼女。 そんな君がまぶしく見える。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 自分の事もしながら、子供たちの事をするって、本当に女性は大変だな。 「どうかしました?」 「いや、すごいなって」 「仕方がないですよ、いやでもそれやんなって云われる日が来ますから」 「それ誰?弟?」 「当たり前です、さ-いきますよ」 「はい、郁、指さし確認」 「ガス消した!」 「消しました」 「太一、電気消した」 「消したぞ」 「ヨッシー、戸締りいいですか」 「いいです」 「それでは行ってきます」 「行ってきます」 この指さし確認が出ていく合図、気持ちいいよな。
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