エピソード2

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「ねえ」 下を見た。 「どうした郁君?」 「手、つないでもいい?」 「いいぞ」 太一にそっちと言ってる、姉ちゃんと挟まれてるのがいいのか、やっぱりい親がいないからそうみてるのか、今は何も聞かないでこうしてやろう。 「すみません」 「なに、いいじゃないか」 彼女の誤り癖も直してやりたいな。 保育園に入ると、先生や父兄にこういわれた。 あら―、郁クンいいわね。 「うん、父ちゃんと母ちゃん」 やっぱりか。 「無理無理、ヨッシーヘタレだもん」 「お前そんなのどこで覚える」 「ワーイ、行くぞ郁!」 「じゃね、ばい、ばい」 「まったく、子供の言う事なんか気にしない方が身のためですよ、ねえ、お姉ちゃんだって選ぶ権利あるものね」 「わーそれひどくないですか?」 「あら―だって、オモテになるんじゃないんですか?」 そうですよね、なんて良美ちゃんも先生と一緒になって笑ってるし。 「バーカ、行くぞ」 「それじゃあよろしくお願いします」 「いってらっしゃい」 バス停で待っている間に会社の連中も並びだす。
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