628人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ」
下を見た。
「どうした郁君?」
「手、つないでもいい?」
「いいぞ」
太一にそっちと言ってる、姉ちゃんと挟まれてるのがいいのか、やっぱりい親がいないからそうみてるのか、今は何も聞かないでこうしてやろう。
「すみません」
「なに、いいじゃないか」
彼女の誤り癖も直してやりたいな。
保育園に入ると、先生や父兄にこういわれた。
あら―、郁クンいいわね。
「うん、父ちゃんと母ちゃん」
やっぱりか。
「無理無理、ヨッシーヘタレだもん」
「お前そんなのどこで覚える」
「ワーイ、行くぞ郁!」
「じゃね、ばい、ばい」
「まったく、子供の言う事なんか気にしない方が身のためですよ、ねえ、お姉ちゃんだって選ぶ権利あるものね」
「わーそれひどくないですか?」
「あら―だって、オモテになるんじゃないんですか?」
そうですよね、なんて良美ちゃんも先生と一緒になって笑ってるし。
「バーカ、行くぞ」
「それじゃあよろしくお願いします」
「いってらっしゃい」
バス停で待っている間に会社の連中も並びだす。
最初のコメントを投稿しよう!