エピソード2

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ずっとスマホを見ている人たち、帰って来てから思ったけど、これ、気持ち悪い光景だな。 「なあ」 「なに?」 「彼氏いないの?」 「いるわけないじゃん、無理、子持ちの女なんか」 「子持ちって」 「ねえ、これさ、安いよね、太一君どうかな」 バスがついてぞろぞろと人が乗っていく。 スマホの中には、子供服ゆずりますの文字、すぐ大きくなるからもらえるものはもらうというけど。 「お前さー、まだ二十歳だよな」 「だから?別に関係ないもん、こうなりゃ一生独身貫いてやる」 バスがガタンと揺れた。 「すみません」 「何でお前があやまるんだ」 「面倒だから」 「まったく今の子はみんなそうなのかね」 「別に、誰にも迷惑かけてないからいいでしょ」 ふくれっ面になった。 またガタンと揺れ、俺は彼女の肩を掴んだ。 「離せ、誰が見てるかわかんないんだから」 「いいじゃんかよ、別に減るもんじゃないし」 「減る!」 「そんなこと言うなよな」 「まったく、早く嫁見つけろ!」 「俺良美ちゃんでいい」 「取ってつけたいい方やめてください、おります」 「俺も、降りるってば!」 真っ赤になってかわいいの。
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