エピソード2

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 部長にどうするか聞いた。 とにかく今は、歩巳がどうなっているかだ、怖い思いをしてなければいいがと言ってくださった。  洗濯もの、だめな時はあきらめようという、仕事をして、早く行ってやれと言われた、落ち着いたら部長のほうも見てくれと言われた、部屋は、五階の十二号、大丈夫だけど。  みんな慌てて制服のまま出ていく、男性もそのまま、バスからは、何も見えなくて、ただ降りたとき、凄い匂いだけがしていた。  寮のそばはまだ消防車がいっぱいいて、奥に行けないそうだ、どうしてだと聞いている、家がくすぶっているのだそうだ。 歩巳を探さなきゃ。 大きな声で呼んだ。 「姉ちゃん!」 「よかったー、ケガは、どこも痛いところない?」 怖かったーと泣きついた弟をしっかり抱きしめた。  第一発見者、それと近所の人と初期消火、歩巳は褒めてもらった、あとで消防署においでと言われた。  家一軒全焼した熱というのはものすごいものがあるなと改めて認識したはいいのだが、でもそれは、私たちがここに住めなくなってしまうことになってしまった。確認で回ってきた、総務部は、各部屋前部に上がり込み、人員の確認をした。 内緒で入居していた兄弟は、規定外として扱われた、二人ではいっているところも、一応独身者という事で貸しているから出ていくか、一人ですむかちゃんとしてほしいと言われたようだ。  玄関に貼られた紙を見て呆然とした。  私が何をしたのという思いで頭が真っ白になった。  この日私は初めてサンタクロースを恨んだ。
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