エピソード1

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 隣の先輩はいいおとこねなんて言うけど、わかんないし。私はまだそんな余裕ないし。  だって一回り違うのよ、ギリ十一才違うんだよ、あ、でもそれって若いのか?あれ?三十才って若いの? 「早川さん!」 「はい!」  みんな帰ったよという新部長。  時間を見た、残業ギリギリ。 「すみません遅くまで、あとはやっておきますので、お帰りください」  あと十分で残業が付く、お願い、見逃して。 「急ぎ?」 「いえ、明日の準備です」  へー偉いね、なんて言われたけど。  帰る準備を始めればいい、そうすれば。 「タイムカード押すよ」 「うわー、待ったー!」  ジャー  うっ、残業が  消えた。 「どうかした?」 「消えた」 「え?」 「残業です!後三分なのに」 「ごめん、ごめん」 「もういいです、失礼します、電気けします!」  ぷんすかもんで、ロッカー室に入り、着替えをして、荷物を持った。 「メールしなきゃ、今から帰るよ」  きおつけてね 「へー、恋人?」  隣からのぞかれた。  新上司。  片方の眉毛が上がった。低い声で言ってやった。 「プライベートです、覗かないでください」  ごめんごめんという。  バス停でバスを待っていた。  降りたところもおんなじで、なんかおんなじ方向?  まあいいか。  社員ならもしかしておんなじマンションかもしれないし、なんて、そうだ、買い物しなきゃ。 そこからUタウン、スーパーへ行った。 よしよし、見切り品いいものが結構手に入った。  保育園の前を通り過ぎると、前を歩いていたはずの上司が走って追い越していった。 今、後ろから来たよね?何が起きたんだろう、まあいいか。 「ただいま」 「おかえり」 「おかえりなさい」 「誰?」 そこには、園児服姿の男の子。
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