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第1話【俺の相方がおかしくなりました。】
〈急に雨が降ってきて、その雨粒がアスファルトになじんでいく様を見ていたら、傘を持っていないことなど、どうでもよくなりました〉
彼女のツイートは、いつも美しい。
カノンと名乗っている彼女のツイートを見つけたのは、一ヶ月くらい前のことだった。
以来、真杜は毎日のようにカノンの呟きをチェックしている。だけど、フォローはしない。自分の存在がカノンに知られてしまうのは、なんだか面白くないし意にそぐわないからだ。
ただ、こっそりとカノンの紡ぐ綺麗な文に感嘆のため息をこぼしていたい。
そういうところが病的で変態的だと思うが、真杜はそんな自分が嫌いではなかった。
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