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「初めましてかな、天田君。生徒会長の山代です。そして後ろの二人が……」
「その生徒を瞬殺してしまいかねないロリ顔ツインテールは、生徒会役員の白石ゆゆさんで、金髪メガネ女子で、山代先輩に負けず劣らずのスタイルは、喜多川茉莉華さんですよね。あの七大天使で現役愛ドールの! ファンです。握手して下さい!」
美里亜の言葉を遮るように、カルキが一歩も二歩も前に出る。気が高ぶりすぎて、制御が効かないようだ。ゆゆと茉莉華は苦笑いしながらも、仕方なくといった感じでカルキの手を握る。七大天使に愛ドールとか、アイドルグループか、と舜は溜め息をつく。確かに可愛さはアイドルやモデルと比べても遜色ないレベルではあるようだけれど。
「ごめんね、軽沢君。今日はあなたではなくて、後ろの天田君に用があってきたの。昼休みもあまり時間がないから、手短に用件を伝えたいのだけれど」
「まさか、先輩が俺の名前を? か、感激です! ほら、舜。早く山代先輩がお呼びだぞ?」
慌てて瞬の腕を掴み、彼女らの前に立たせるカルキ。ただ用件を聞くだけのはずなのに、こんなにも荒だてられるとは、思ってもみなかった。また溜め息をついてしまう舜。
「で、何の御用でしょう。その生徒会の綺麗な先輩方が僕なんか雑草のような存在に」
少し長い髪をかき上げ、舜は皮肉を込めてそう美里亜に言った。美里亜は不敵な笑みを浮かべ、瞬の視線を真正面から受けたのだった。
「そんなことで、と言ってたわね。さっき天田君は。そんなことで自殺がなくなるようなら、こんなにも事件は広まっていないって」
聞かれていたのか。軽はずみに大口を叩くべきでないと瞬は後悔した。
「それは……確かに言いました」
それを否定しては、自分がみじめになるだけだ。それに嘘など彼女には通用しない気が何故か舜にはしたのだった。
「そうよね。あなたは確かに言った。じゃあ、それだけのことが言えるあなたなら、一体どうやって事件を収束してくれるのか、私興味が出てきちゃったの」
「えっ……僕がですか?」
瞬の言葉ににっこりと口元を緩める美里亜。その表情には彼女の魂胆がはっきりと見えていた。
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