第1章

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 寂しくて、誰かに共感して欲しかった。そうだとしたら、あの日の彼女の行動はどう説明したら良いのだろう。舜の中で大きくなっていたモヤモヤ。聞かなければ幸せだと思いながらも、舜は口にしてしまうのだった。 「なあ、ひより。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」  一瞬の間。ひよりはひよりの、舜には舜の考えがあるということだろう。あの日の夜、舜が茉莉華に何をされたのかは、彼女以外の誰にもわからないのだ。 「次の日に死ぬことを決めていた女の子が、何をするのかなんて私にはわかりません。それに彼女にとって、死よりも大切な何かが、あの日のあの場所にあったのだと私は思うのですよ、天田さん」  それが何だったのか。舜が意識を失った理由は一体何だったのか。本当の意味での、この事件の闇は深いと舜は考えるのだった。  ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 「なあ、ひより。どうして自殺は止まらないんだ?」  自問するかのように言葉を呟く舜。ひよりは起き上がり、制服の裾を(はた)いていた。 「元凶を正さなければ、一度出来た流れは断ち切れないのですよ、天田さん」  ――元凶。 「学園の理事長か。そしてそれにハイエナのように群がる権力者。だが、そいつらを正すには、僕らはまだまだ遠いな」  一学生の身分では、遥か遠く、きっと何の力も及ばない。でも、いつか必ず、彼らを追い詰めてやると舜は誓うのだった。 「えへへ、じゃあ宿題ですね、天田さん。ですから、三人での放課後の見回りパトロールは、まだまだこれからも辞められませんね?」 「ああ、そうだな」 「そして今日は私が当番なのです」  彼女の純粋で嬉しそうな笑みが、心の汚れた舜にはたまらなく眩しかった。 「最後にもう一つだけいいか?」 「はいです、天田さん」 「ひより、どうして、お前が事件を解決をしなかった?」  彼女には見えていたはずだ。事件の全容も何をしなければならなかったのかも。
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