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月曜日の放課後。俺は彼女を呼び出した。いつもの公園で待っているとだけ伝えて。
来ないならそれで良かった。それだけ愚かなことをしたのはわかっている。
だが彼女は来てくれた。それだけで胸が一杯になり言葉を失う。ずっとこんな気持ちだったのだろうか。そんなことすら俺にはわからない。
「用事は何かな」
彼女は悲しい表情を浮かべている。後悔している顔では無く、それは裏切られた顔だ。俺は知らない内にまた一つ彼女を傷つけてしまっていたらしい。
「本当は話したいことが沢山あったんだ。謝罪したいことも沢山あったんだ。ただ、君の顔を見たら何で言おうか忘れてしまった」
「なによそれ」
彼女は噴出すように微笑む。俺らしくない物言いが面白かったようだ。確かにこんなこと一度も言った事無かった。
「でも一つだけお願いがあるんだ。今度は俺から君を追いかけさせて欲しい。君のことを好きだってようやく気づけた愚かな俺と、もう一度一緒に歩いて欲しいんだ」
目をぱちくりさせながら彼女は驚いていた。そしてしばらくの時が流れ、彼女は答えの代わりに持っていた学校指定のカバンで俺の頭を叩いた。
「遅すぎ!何年目よ全く。別れたからもう恋人じゃないから!……しばらくは下僕だからしっかり苦しんで反省してよね!」
彼女はもっと大人しい生活で、そして下僕という言葉を使う子じゃなかった。俺は彼女に勝手なイメージすら植え付けていたらしい。
だが俺はこっちの彼女の方が好きだった。もっと彼女を好きになれた。
なぜなら今の彼女は最高の笑顔をしていたからだ。それは俺にとって何よりも喜ばしいことだった。
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