つかれてます

恩師からの電話

　一瞬だけ見た画面に、恩師の名前が出ていました。
　何を置いても出なければと思いました。

「……もしもし」
　寝ぼけてはいたのですが、自分では『いい声』を出しているつもりでした。そして、簡単な挨拶をしました。

「こないだ会った子、その後、連絡とかあった？」
　友人が「背後に何か悪い物が憑いていないか視てもらいたい」と言っていたので、この先生に紹介しました。それが今年の３月でした。

　先生と言っても、霊能者の先生というわけではなく、本物の中学校の先生です。今は退職されていらっしゃいます。私が憑かれやすいということで、対策をいろいろ取ってくださいました。

「ありません」
　先生から「悪い物は憑いていない」と言われ、友人はほっとしたように帰り、それから連絡を取っていませんでした。

「何か、変わったことなかった？」
　探るように先生はおっしゃいました。

「変わったことですか？」
　３月にお会いして、それから特に変わったことはありませんでした。