恩師からの電話

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「ありません」  何の躊躇(ちゅうちょ)もなくそう答えました。本当に何も思い当たりませんでした。 「そうか? それならいいんだけど、虫の知らせというのか、なんだか嫌な感じがしてね」  先生の話し方の歯切れがよくありません。 「友人も何も言って来てないし、ないですね」 「何もないのはよい知らせってことだからいいんだけど、ホントに何もない?」 「ないです」  先生のおかげで、霊現象は減っていました。ただ、3月に会った時、先生は友人よりも、私の方が心配だと言っていました。 ―― あなたの方が、とんでもないの憑いてるからね。  私がそう言われてしまいました。  それで、現在の状況などを軽く教えてくださいました。いまでもたまに、先生として働いているという話を聞きました。 「ホントに何か変わったことない?」 「はい」  それで電話を切りました。  特に理由もなくかかってきた電話でしたが、迷惑だとかそういうことは思いませんでした。
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