もし薩摩の人がカップ焼ゲフンゲフン

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ハードカバーの小説を乗せて文字通り念を押した。 小説の題名は「画竜点睛を欠く」 それからの三分 長かった。 妙子がなんか甘えたかわいい声で「ウチこれとっと~とよ~」と鹿児島人の僕にはよくわからない呪文のような言葉をいっていたがそれどころではない。 僕は精確にカップ焼そばを作る! 僕は脱兎の如く携帯電話に向かって駆け出しストップウォッチを三分にセットした。 デジタルが60を刻むのを三回。 子供でも分かる120秒。 それは愛しき妙子の願いを叶える待望の三分後に違いないのだ。 携帯液晶に3:00の表示。 堪えた!僕は完璧だ! 勝ち誇ったかのように油性状の艶煌めくソースを注ごうとした! 馬鹿な! おのれはかったなカップ焼そば! 危ないところだった。 人は勝ちを確信した瞬間敗北する。 お湯を捨てて居なかった。 三分に、三分に拘り過ぎた。 ここまで、ついにここまでたどり着いたというのに突然の破滅のクレバスに足元をすくわれるところだった。 カップ焼そばよ、お前はとんだ食わせものだぜ。 カップ焼そばは食うものだ。 それはわかっている。 僕は冷静だ。 台所の流しに駆け寄り踏み出こんで湯切り口を空け渾身の力で蓋を押さえながら湯切りをした。 僕をハメようと
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