原罪を写す万華鏡

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「…でー、何の話しだっけ?」 もつ鍋をつつき韮子はボタンを押す。 間も無く馳せ参じた店員にラーメンを注文する。 「恋人が欲しいって言う話し…」 言い出すと気まずさが再開される。 忘れていたなら流せば良かったのにと、 気づいた許花は既に手遅れだった。 「えー、でもさぁ。あんた茶羅王と付き合ってたじゃない。」 「それはー…高校時代の話しだよ。半年で別れちゃったし、はは…」 由芽水茶羅王(ゆめみちゃらお) 顔はおぼろ気だったが、髪をライトグリーンに染めていた。 片田舎だと言う事を除いても、恐らく現在でも殆どの高校で許可されないであろう髪色だ。 「腕っぷしは弱かったみたいだから喧嘩とか暴力沙汰は聞かなかったけど、まぁチャラかったよね。 確かバンドやってて、将来ビッグになるぜ!とか言ってたっけ。」 「うん、覚えてるー。」 自分の過去を掘り返されて何だか気恥ずかしくなる。 もっとも、許花にはライトは浴びせず、今ライトアップされているのは茶羅王の方なのだが。 「茶羅王くんと続いてたら、今頃許花もひょっとするとひょっとするかもよ??」 「やだもう、タラればな話しは止めてよー。」 「いや、居酒屋なんてタラればな話をする為の場所でしょうが。」
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