第三章~救いの女神~

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振り向くとくりくりパーマに白いエプロンをした女性が僕に何かを言っている。だけど言葉が分からない。ちなみに割烹着という日本独自のエプロンだということを後に知った。 「おまいさん、昨日からこの辺ウロウロしてたね!?それでこんな所で寝てたのかぃ!?ちょいとウチへ来な!!」 早口言葉で捲し立てられるも、なにがなんだか分からない。そしていきなり腕を捕まれ連行されて行く。 僕が初めての「オカン」に会った瞬間だ。 『何をするんですか!?離してください!』 「おだまりぃ!!いいから行くよ!!」 恐怖を感じたので大人しく着いて行った先は、その人の自宅。僕が寝ていた場所が丸見えの立地だった。ジェスチャーで靴を脱げと合図をするので、靴を脱いで上がる。 通された先はダイニング。そしてテーブルの上にはなんとトーストとハムエッグ、そしてコーヒーが置かれていたんだ! 「お食べ!」 『??』 女性は食べる仕草をするので、食べてもいいと判断していただいた。……涙が出るほど美味しかったよ。くるくるパーマをかけた女神かと思ったよ。 「やっぱり食べてなかったんだねぇ。ちょいと待ちな」 僕が食べると次々にお代わりを出してくれていたが、おもむろに立ち上がり黒い電話の側へ行く。そして受話器を上げるとジーコジーコとどこかへ電話を始めた。
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