第四章~日本堪能~

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『今さらですが二人はお仕事はしてないんですか?あと、なんと呼んだらいいのか教えてください』 衝撃的な回答が返ってきた。お二人はもう60歳を越えていて、定年退職をして二人で暮らしていると。どう見ても60歳を越えているようには見えない。これは今でも思うけど、日本人は実年齢よりもかなり若く見える。 二人は定年前は学校の先生をしていて、女性は英語の教師、男性は校長先生をしていたが、校長になる前は国語の教師だったそうだ。 呼び方については粋なことを言われた。 『この家に住んで一緒に暮らすなら、あなたは私たちの息子よ。オトウサン、オカアサンと呼んで。あと、私たちの年代の人には同じように呼んでも問題ないわ』 僕が日本に来て初めて覚えた言葉だ。 「せっかくだから観光にでも行かないかぃ?」 「ああ、それはいいね」 オトウサンとオカアサンが作戦会議をしている。僕を見ながらニコニコと話し込んでいる。 少し歩くけど大丈夫かと聞かれ、体力には自信があると答えると二人は満面の笑みだった。 連れて行かれた先は『浅草花やしき』。僕は子供のようにはしゃいだね。なぜなら僕の地元は田舎で遊園地なんてなかったからさ!
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