第三章~救いの女神~

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浅草寺の外に出たものの、どうしたらいいのか分からない。右も左も分からないまま歩き出した。 気付くといたのは民家街。自分の家よりも遥かに小さい建物と敷地。キョロキョロしながら歩くと、チラチラとこちらを伺う何人かの人に気付く。しかし、話しかけようとするとみんな家に入ってしまう。 言葉も通じない国で、いきなり人の家に行ったら撃たれてしまうかもしれない。銃のない国だと知ったのは後からだったけど。 さらに歩き続けると小さな公園を見つけた。今日はとても疲れた。自分は男だし、一日くらい風呂に入らなくても大丈夫だ。ただ……腹が減ったなぁ。なんて思いながら遊具の下で寝転んでいると、いつの間にか眠ってしまっていた。 は!っと目を覚ますと朝だった。寝起きと同時にお腹が鳴った。荷物も盗まれていない。奇跡だ!と思うものの、自分が知らない国で一人ぼっちなことに気付き現実に引き戻されていく。 さて、どうしたらいいものか……。立ち上がり、公園から出ようとした時だった。 「ちょっとおまいさん!そこのおまいさん!」
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