第一章~理由~

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第一章~理由~

この話は、当時僕がまだ18歳だった頃の話だ。 周りのみんなが進学や就職活動をしている中、僕は日々心にモヤモヤとしたものを抱えていた。 実は僕には初恋の人がいた。僕が子供の頃、近くに住んでいた二つか三つ年上の女の子だ。真っ黒の髪に黒い瞳の色。不吉の象徴とされているカラスと同じ色なのに、彼女には神聖なものを感じるくらいの神々しさがあった。 それもそのはず、彼女の産まれた国は神様がたくさんいるという日本だという。 彼女の両親から日本の神の話を聞いた時、彼女もまた神かと思ったものだ。 彼女はほとんど英語を話せなかったけど、幼い二人には言葉は不要。うちの広い農場を走り回ったり、花の冠を作ってお互いの頭に乗せたり。 そんなある日のことだった。彼女もそれなりに英語を話せるようになった頃、彼女の両親から日本に帰ることを聞いた。 彼女がいなくなるだって?僕には理解出来なかった。けど時間は待ってはくれない。彼女は両親とともに帰国した。
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