バレンタインデー

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この季節、雪で練習できない地域がある中、私の学校では練習をする。私の住んでる地域は雪が降らない。それどころか晴れの日が多くて外へ出てスポーツをする人が多い。 いつものように練習をして後片付けをして部室へ戻ると、私が用意しておいたチョコレートはなくなっていた。見つけた男子が我先に自分のものにしたに違いない。もちろん、私が用意した事はわかってる。しかし、私にありがとうとお礼を言う者はいない。 照れがあるのか、他の男子部員へのメンツがあるのか私にはその男心はわからない。それは高山君も同じである。私は、高山が帰った後、こっそりとロッカーを覗いてみた。やはりなくなっている。高山君は、チョコレートを家に持ち帰ったのだろう。誰がやった確証がないのか、私を嫌いなのかわからない。 次の日、少ししょんぼりした私に聞こえるようにこんな事を言う者がいる。 「昨日のチョコレートを用意した者は誰なのか名乗り出て欲しいな。そいつがとびきりの美人なら俺が付き合ってやるのに」 それを聞いた私は吐き気がした。どんな女をいいと言ってるのかわからないが、本人はお世辞にもその女に釣り合うとは思えない。寧ろ、ブサイクランキングで上位を取りそうな醜い男である。 私は、知らんぷりして黙々と作業をした。高山君は、その事を口にせずに部活を終えると帰宅した。     
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