高校受験

1/1
前へ
/17ページ
次へ

高校受験

三年生になった私たちは、一学期の中間試験後の試合を中学最後とした。我が校のチームは三位になった。優勝はならなかったが、結果は結果として受け止めて、その後を下級生に明け渡すと引退した。 二学期になると高校受験に向けての準備に入った。私たちは偏差値で輪切りにされるので、テストの点数と内申書に見合った学校に絞られる。 私はBランキングで、高山君はFランキングである。ここで完全に道が分かれてしまった。しかし、それを把握してるのは先生たちであって、私は高山君と同じ高校へ進学するのを心待ちにしている。 AO入試にエントリーすることになり、私は先生が勧める高校へ願書提出した。それは高山君も同じである。しかし、高山君が行く所は、部活が強いがテストの点数が0点でも入れる底辺校である。頭が弱い彼は、せめて野球で頭角を現そうとしている。そういう事情を知らずに、私は高山君との甘い夢を見ながら受験に臨んだ。 後日、内定が取れた私たちは残った中学生活を送ることにした。今年のバレンタインデーも高山君からスルーされて凹んだ私は、卒業式を迎えることになった。 今度、私が進学する高校は普通科単独校である。有名国立大学へ進学する者はいないが、偏差値の低い国立大学やそこそこの私立大学へ進学している。とりあえずそこへ進学すれば、公務員にはなれる。 因みに高山君が進学するのは、私立工業高校である。大手企業付属高校なので、卒業後はその企業に就職するか誰でも入れる工業大学へ進学する。 この時点でホワイトカラーとブルーカラーに分かれてしまった私たちが結ばれることはないのは誰が見ても明らかだ。それどころか「あんな男なんか忘れろ」と世間の人から言われるくらいだ。 だが、世の中の仕組みをわかってない私は、高校生になっても毎日高山君と逢えると勘違いしたまま、二度と彼と逢えない日が迫ってることに気づかないでいた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加