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小さな町の小さな商店街。
その奥にある小さな稲荷神社には、狐の神様が住んでいる。
そんな神様の1日のお話。
狐の神様の朝は早い。
5時には目覚め、神社の隅にある池で顔を洗う。
そして、神社の屋根に上り、そこから商店街を眺めるのだ。
「おーい、狐の。いるか?」
声の方を向くと、野良猫のごんたが訪れていた。
「どうされました?」
ごんたの元へひょいっと飛び降りる。
「いやぁ、俺にもよくわからねぇんだが、商店街西のネズミと東のネズミで、何か揉めてるらしいんだ。なんでも、落ちてたチーズが西のものか、東のものかって下らない内容なんだが…」
この町の動物達は、動物組合によって基本的には皆協力し合い、仲良く暮らしている。
しかし、たまにはこういった揉め事も起きるため、それを鎮めるのも神様である狐の役目となっていた。
「わかりました。とりあえず、現場に向かいましょう」
狐とごんたは連れ立って、商店街の中心へ歩いて行った。
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