神様の1日

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 商店街の中心に着くと、ネズミ達が一斉に飛び出してきた。 「狐さん、聞いて下さいよ!あいつら、ここに落ちてたチーズを自分たちのだっていうんです。ここは、商店街の西側ですよね?」 「何言ってんだ!どう見たって、ここは商店街の東側だろ?」  口々に、自分達が正しい、とネズミ達は狐に訴える。 真ん中には、丸いチーズが転がっていた。 少し考え、狐は空に向かって一声鳴いた。すると、チーズは真ん中からキレイに半分になり、西と東に分かれて転がっていく。 「あ!チーズが行っちゃう!皆、追いかけるぞ!」  それぞれ西と東に別れ、ネズミ達は自分達のチーズを追いかけて行った。 「ふぅ。これで大丈夫でしょう」 「何だかすまねぇな。こんな揉め事に出てきてもらって」 「いいんですよ。皆さんにはいつも町の為に協力していただいてますから」 町に何か異変が起こったときは、いつも動物達に偵察や、場合によっては解決を頼むこともある。狐にとって、町の動物達は皆大切な仲間だった。  神社に戻ろうとしたそのとき。道の向こうから狸がひょっこり顔を出した。 「おお!ここにいたんだな。ちょっと来てほしいんだ」  いつもお酒が入った徳利を肩から掛けているこの狸は、狐の古くからの友人である。 「何かあったのですか?」 「田中さんのとこの亀と、池田さんのとこの兎が決闘するっていうんだよ!」  いつもは平和な商店街が、今日は何だか慌ただしい。 狐は小さく頷くと、狸の案内で現場へと向かった。
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