第3章

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 とわたしの味方をしてくれた。ははーっ、と時代劇の家来ばりに、マネージャーはかしこまった。  議題は別件へと移った。  会議が終わったあと、マネージャーが近づいてきて、 「原川さん、ひどいじゃないか。何も会議の場で言うことはないだろう」  恨みがましい目を向けてきた。 「ひどいのはこの件を闇に葬ろうとしたマネージャーじゃないですか」 「そ、そんな人聞きの悪いことを言わないでくれよ」 「じゃあ、何か対処してくれていたんですか?」 「も、モチロンさ」  その作り笑いを浮かべた顔には誠意のかけらもなく、わたしは、会議の場で言われるのが嫌なら、直接、課長や部長に電話してもいいと言ってやると、その笑みは強ばって、不明瞭なことをごちょごちょと言いながら、離れていった。
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