年下の彼

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プログラムも終盤にさしかかり、締めは親子リレーだった。 私が出るはずだったけれど、やはり男の人のほうが速いに決まっている。 潤一も自分が出るものと張り切っているので、任せることにした。 悠李もパパと走れるほうが嬉しいだろう。 ルールは30メートルほど親子で手をつないで走ったあとは、自由でいいことになっている。 年少さんから順番に親子で並び、待機していた。 スタートの合図と共に、運動会の定番曲、『天国と地獄』が流れた。 一緒に手をつないで走るところまでは、大差はなかったけれど、やはりそのあとは、抱っこしたり、ひょいと肩車してダッシュするお父さん親子が速かった。 悠李と潤一の前は女の子とママさんのペアだったので、かなり大差をつけられてバトンが渡された。 手つなぎを走り終え、悠李を横抱きにして走しりだした潤一は、サッカーをやっていたというだけあって、かなりのスピードをあげた。 さっきまで憎しみさえ感じていた潤一だったが、応援する手に自然と力が入った。 かなり前を走っていた親子との距離をぐんぐん縮めて、バトンをわたす手前で追い抜いた。
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