215人が本棚に入れています
本棚に追加
雪花も悠李も疲れたのだろう。普段からお昼寝の時間帯ということもあるのかも知れない。
和室に布団を敷いてあげたら、遊んでいるうちに二人並んで眠ってしまった。
リビングのソファに、腰をおろしている人数分の麦茶を、母はトレイに載せて運んで来た。
「悠ちゃんも雪ちゃんも、すっかり疲れて眠ってしまったわね。子供たちには聞かせたくない話しだから、ちょうどよかったわ」
義母が麦茶を一口飲んで、つぶやいた。
父と母は無言のまま、なにも言わなかった。
潤一はソファの背にもたれたまま、人ごとのようにしらけた顔をしている。
「悠ちゃんだって、あんなに潤一に懐いているのよ。なにもわざわざ引き離すことはないでしょう。ねえ、彩矢さん、お願いするわ。子供たちのためにも考えなおしてちょうだい」
「そんなこと言われても、、」
義母はバッグのファスナーを開けると中から紙を一枚とりだした。
「ほら、ここにサインをして欲しいの。そうすればまた元の鞘に収まるんじゃない」
義母は婚姻届の用紙をガラステーブルの上に広げた。
最初のコメントを投稿しよう!