年下の彼

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雪花も悠李も疲れたのだろう。普段からお昼寝の時間帯ということもあるのかも知れない。 和室に布団を敷いてあげたら、遊んでいるうちに二人並んで眠ってしまった。 リビングのソファに、腰をおろしている人数分の麦茶を、母はトレイに載せて運んで来た。 「悠ちゃんも雪ちゃんも、すっかり疲れて眠ってしまったわね。子供たちには聞かせたくない話しだから、ちょうどよかったわ」 義母が麦茶を一口飲んで、つぶやいた。 父と母は無言のまま、なにも言わなかった。 潤一はソファの背にもたれたまま、人ごとのようにしらけた顔をしている。 「悠ちゃんだって、あんなに潤一に懐いているのよ。なにもわざわざ引き離すことはないでしょう。ねえ、彩矢さん、お願いするわ。子供たちのためにも考えなおしてちょうだい」 「そんなこと言われても、、」 義母はバッグのファスナーを開けると中から紙を一枚とりだした。 「ほら、ここにサインをして欲しいの。そうすればまた元の鞘に収まるんじゃない」 義母は婚姻届の用紙をガラステーブルの上に広げた。
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