年下の彼

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少し迷ってから、言われるまま膝の上にちょんと座った。 「ここに先生は来たりしない?」 「昼休みはほとんど来ることないよ。僕のほうが検査室や薬局に行くことはあるけどね」 慎ちゃんはちゃんと約束を守って、手を握っているだけだ。 「佐野さんそろそろ戻って来ないかな?」 慎ちゃんの膝のうえになど座っていたら、なんだか落ち着かない。元カレにこんなところ見られたくないし。 「だから、気をきかせたんだって。僕だって沙織さんが佐野さんと付き合ってたときは、そうしてあげていただろう」 「あら、そうだったの? そんなことあったかしら? もういいわよ、そんな話」 ……過去の話なんてしないで。 「佐野さんと松田さんって上手くいってるのかな?」 「どうして? 松田さんは離婚したんだもの、二人はいずれ結婚するでしょう」 慎ちゃんが私の膝小僧をなでるのでくすぐったい。 「なんか、元気ないんだよな、佐野さん。もしかして沙織さんのことがまだ好きなのかな?」 「そんなわけないでしょう。やめてよ。そんな話。もう終わったことだわ。お願いだから、佐野さんの話はしないで……」 慎ちゃんに思い出してもらいたくない。 佐野さんの部屋で自殺未遂したことなど……。
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