年下の彼

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八時を過ぎても慎ちゃんは帰ってこないし、連絡もない。 晩ご飯は誰かと食べてるのかな? まさか、浮気じゃないよね……。 冷やし中華にしてよかった。こんにゃく麺だから伸びなくていい。 先に食事を済ませ、お風呂からあがると、玄関ドアの鍵がまわる音が聞こえた。 なんの連絡もなく遅れて帰ったことに、少し腹立たしさを感じた。 いつもなら、リビングから目と鼻の先のような狭い玄関でも、お迎えをしていたけれど、今日は無視してテレビを見ていた。 「ただいま~ 遅くなってごめん」 慎ちゃんは、おどけたようにリビングのドアを開けた。 「どうして連絡くれなかったの!? 」 不機嫌に咎めると、後ろ手に花束を隠し持っているのが見えた。 「ハイ、これ!」 慎ちゃんは照れたようにおずおずと真っ赤なバラの花束を差しだした。
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