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面白そうなテレビもないので、ベッドに寝転んで読みかけの文庫本を読んでいた。
直木賞作品だというけれど、面白く感じられなくて、ちっとも進まない。
この作家とは相性が悪いのだろうと思いながらも、我慢して読みつづけた。
そのうち眠くなって、いつの間にかうたた寝をしていた。
ふと目がさめると、慎ちゃんが隣でジッと見つめていた。
「嫌ね、寝顔なんか見てないでよ」
不機嫌に起きあがり、手ぐしで髪を整えた。
「どうして? すごく可愛いのに」
「可愛くなんてないわよ。枕によだれを垂らしたりしてることもあるんだから」
「僕、沙織さんのそういうところが見たいな。いつも隙がなくてステキすぎるから、ちょっと疲れちゃう」
「えっ、そ、そうなの? 慎ちゃん、疲れてたの?」
結構、ショックな発言。
私はまわりの人たちをいつも疲れさせるトラブルメーカーだから。
「沙織さん、もう寝ちゃう? 僕ちょっと話したいことがあって……」
な、なによ? かしこまっちゃって。
も、もしかして、もう別れ話?!
いくらなんでも早すぎよ。
私と長続きできる人は、この世に一人もいないの?
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