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多分、シルバーのリングかネックレスと思っていたけれど。
それはありえないほど豪華なエンゲージリングだった。
「えっ、慎ちゃん、これって?」
「あ、あの、結婚してくれないかな。……な、なんか、めっちゃ照れるな」
慎ちゃんはうつむき、無垢な乙女のように恥じらいながら言った。
本当に? 慎ちゃんは誠実な人だけれど、すぐには信じられなかった。
言葉を失っている私を慎ちゃんが不安げに見つめた。
「ダメかな? やっぱりダメ?」
「私でいいの? 本当に私で……」
「当たり前じゃない。ずっと憧れてたんだから。このアパート狭すぎるだろ。早く引っ越したくて。沙織さんのマンションの家賃だってもったいないし」
「でも私バツイチよ。四歳も年上だし。ご両親はなんて言うかな?」
「僕は次男だし、うちの両親はたぶん大丈夫。そんなこと心配しないで」
「慎ちゃん、、」
リングをケースから外して、慎ちゃんは私の薬指にはめてくれた。
「やった、ピッタリじゃん!」
「すごく綺麗……」
この時はあまりに突然のプロポーズで、この指輪の豪華さに関心が行かなかった。
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