年下の彼

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「ねぇ、今日は上手だった?」 腕まくらでウトウトしかけていたら、耳元で慎ちゃんが囁いた。 「う~ん、上手よ、とっても上手~」 まどろみながらムニャムニャと答えた。 「まじめに答えてよ。どこがよかったんだよ?」 「なによ、いやね。そういうのがムードぶち壊しって言うのよ。せっかく良かったのに」 「なにがどう良かったんだよ。ちゃんと言ってくれないとわからないじゃないか」 「そんなことを説明させようっていうのが野暮なのよ。今日はきれいなお花があって、プロポーズもされたのよ。いいに決まってるでしょ」 「そういうんじゃなくてさ、、上手だったかって聞いてるんだよ」 「そういうのが大事なの。テクニックじゃないの、気持ちの問題なの」 「わからないなぁ。じゃあ、今日は何点だったんだい?」 「100点満点に決まってるわ! 私、最高に幸せよ」 慎ちゃんに抱きついて、ほっぺにキスをした。 「まぁ、いいや。早く結婚して引越ししようよ。結婚式なんかはどうするんだい?」 「私はバツイチだから式は無くてもいいけど、慎ちゃんは初婚だからしないといけないんじゃない?」 「沙織さんがしなくていいなら僕もしなくてもいいかな。面倒だし、そういうことにお金かけたくないんだよな」 「そういえば慎ちゃん、もしかして宝くじにでも当たった? この指輪高かったでしょう?」 さっき薬指にはめてもらったリングを見つめた。
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