睡眠不足

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睡眠不足

「どこか行きたい所ある?」 「砂漠に行ってみたい。」 「よーし分かった。お兄ちゃんに任せろ。」  とは言ったものの、砂漠にはどうやって行けばいいのだろう。この前欲しいプラモデルを買ったせいで貯金箱の中には三百円しかない。  妹のあかねは生まれた時から目が見えない。そのことがとても可哀そうなので、なるべくあかねの願いは叶えてあげようと思っている。  今回もあの手を使うしかなさそうだ。 「よし、砂漠に出発だ。」  わざと遠回りして着いた先は、近所の公園の砂場だ。 「あかね、ここは砂漠だぞ。俺らの周りは全部砂だ。うわ、すげー。カーボーイがいる。ばかでっかいサボテンもあるぞ。」 「砂漠ってすごいね。お兄ちゃんありがと。」  あかねは、ここが砂漠ではないことを知っている。でも、お兄ちゃんが自分の願いを頑張って叶えようとしてくれることがとても嬉しい。お兄ちゃんが言っていることが嘘でも、言っていることを想像することで、本物の砂漠にいるよりも楽しい気持ちになることができた。
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