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『平安?何じゃそれは』
「桔梗が居た時代?」
『やはりオツムが足りんのじゃな。健吾。我が晴明様に師事致したのは寛弘(西暦1000年頃、晴明八十歳過ぎ)と申す時代。一条の天子様の御代じゃ』
「マジむかつく」
「まぁまぁ。でも確かに後の時代の人間が付けた名前だものね、平安時代とか、鎌倉時代とか」
クスクス笑うネコさんに、不本意ながらも同意だな。確かにそうだ。
そんで、桔梗は安倍晴明の弟子、奇妙な呪いが使える猫だった。
ってそんなこと簡単に信じられるかっ!?
けど……。否定しながらも、完全否定できない自分がどこかにいて。話し方といい、今日の出来事といい、桔梗の話を肯定したほうがずっと信憑性がありそうなこの状況。
「いいじゃん、嘘でもホントでも。信じる者は救われるって言うし、何より夢があって楽しいじゃん」
まあ、それもそうだよな。疑ってギスッても楽しい家庭になるはずもない。気持ち切り替えて前向きに見守るか。
桔梗と過ごす二日目の夜は、土砂降りの雨音の中、そんな感じで更けて行ったんだ。
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