ある朝の出来事

4/7
前へ
/121ページ
次へ
   嫁と猫と、2か月前から同居して以来、その暮らしぶりにはまあ、日々驚いてきた。  嫁のほうは子供のころから見てきた自分の母親の生態と、そんなに違うわけでもなかったから、そこまで驚くような出来事も今のところない。  でも、猫の生態は未知の世界だ。  一日中食ってるとか、食ったら吐くとか、想定外だった。時々自分の毛も吐いてるし。  触ると吐くんじゃないかって、慣れるまでびくびくしてた。今は、掃除きたー!って、別の意味でびくびくするけど。  そういえば、毛玉ってタンブルウィードみたいに丸い塊が転がって出て来るのかと思ってたけど、実際はトイレに落ちてるカリントウみたいなのとあんまり変わらなかった。色以外。  アンモナイトみたいに丸くなって眠れるとか、自分で自分の股間を舐めて手入れできるとか、どんだけ柔らかい体をしてるんだ。別にうらやましくなんかない。……ちょっと興味あるっちゃあるけど。  そうだ、その股間舐めた舌で、俺の手とか舐めに来るのはやめてくれないか。懐いてくれるのは嬉しいんだけど。……いや、なんとなくさ。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加