ある朝の出来事

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 ああ、こんなもん…………だよな。  あと、あるとしたら……、何とかライダーとかレンジャーみたいに箪笥の上までひとっ飛びとか、しかもそこからムササビよろしく俺の頭に飛び移って来たりとか。頭皮に爪を立ててブレーキかけるから、毎晩のように流血してるんだぜ、俺。おかげでここんとこ、常に頭には傷があって、出勤に帽子が欠かせないんだ。  炬燵に足入れたら噛まれるし、風呂に入れば覗きに来て、出れば足を舐めに来る。靴ひも結べばじゃれついて絡む、よそ見してりゃ晩飯盗まれる。  その程度のもんさ。  それがっ!  なんで喋るんだよっ!これは夢か?妄想か?ちょっとゲームやり過ぎたか?喋る兆候も、予告も、嫁の助言もなかったぞっ!?  一体……何が起こってるんだ?    とか、いろいろ考えていたら、少し落ち着いてきて、これもまた、俺の知らない生態の一つなんだろう、なんて冷静に思ってみたりもするけど。
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