大きな看板

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大きな看板

 毒々しい照明が睦み合う二つの影を浮かび上がらせる。組み敷かれた女は白い乳房を露わにしている。覆いかぶさった男の掌がそれを荒っぽく揉みしだく。激しかった女の抗いは次第に力感を失い、ついには動きを止める。唇を重ねたまま、男のもう片方の手が女の頸動脈を押さえつけていたからだ。ベッドに据え置かれたかのような女の身体の上で緩やかに蠕動めいた所作を続けていた男がわずかに顔を上げ、獣じみた目線をカメラに向けたたタイミングで、大志(おおし)監督の声が響いた。 「はいっ、OK!」
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